Super Rugby Hurricanes Kicking Option フィニッシュゾーンでの効果的なキックの裏で

set attack

ニュージーランドラグビー、スーパーラグビーを中心に近年キックオプションを有効に使うチームが増えてきましたね。ジェイミージョセフ率いるラグビー日本代表もキッキングを含めた攻撃戦略でトライシーンを見せてくれてます。キッキングが相手に攻撃権を与えてしまうというネガティヴなイメージがあるけれども、ディフェンダーのいないスペースにコンタクトをせずボールを最短最速で運ぶ為のオプションとしてはキックパスやグラバーキックは大きな武器になりますよね!それがまるで手でパスをするような精度の高いコントロールで味方が獲得出来れば有効に使えるということだよね。では2019 スーパーラグビーセミファイナル ハリケーンズvsブルズ 前半6分50秒のキッキングシーンを下のシートで掘り下げてみたいと思います。

敵陣22m付近左サイドL/O よりDFライン裏グラバーの有効性

  • 6men L/Oバックボール(後ろから2番目がキャッチ)でジャンパーが上からデリバリーせず一旦着地し、一瞬モールを押し込もうと見せかける事により、DFラインの出だしを緩める、DF14もモールを組んだ後のショートサイドをチェックする為にその場にとどめる効果もある。
  • 通常SHがいる位置にFW(図ではF)をセットさせ、そのFWがモールに入らず少し横へ持ち出し、敵のラインアウト最後尾のディフェンダーを引きつけ9へパス
  • バックラインのファーストレシーバーの9がコンタクトライン(接点)ギリギリまで引きつけてディフェンスライン裏にグラバーキック。大前提としてBKアタックラインが仕掛ける パスプレイでセンターの縦突破orワイド(右サイド)へのシフトもあるのか!?と言うランをしなければならない。そしてAT14は右サイドの5m付近にポジショニングし、DF15にワイドのキックパスを意識させたポジショニングを取らせる
  • AT9からのグラバーキックを転がす位置は、DF13の背後でDF14・15がカバーディフェンス出来ないスペースを狙う。

実際のシーンではほぼ理想の場所にグラバーキックをコントロール出来ましたが、DF14の予測・反応が良かった為、先にボールタッチされてしまいDF14のノックオンとなりました。コンマ数秒DF14が遅れていたらAT13がキャッチしハリケーンズのトライを演出するキックとなっていたでしょうね!

このグラバーキック・ラインアタックオプション次にどう活かすか

どのアタックでも同じように考えなければならないのが、このキックでどうDFが動いてきたか、このラインアタックの仕掛けでどのでフェンダーが誰をノミネイト(マーク)していたかをフィードバックし次の攻撃もDFラインを崩し突破するために活かしたいですね。このバックラインアタックには5通りのオプションがあります。(※ sheet 2 のスケルトンサークル(エリア)ナンバーと下の1〜5がつながってます。)

  1. 上のシートで説明したDFライン裏へのグラバーorチップキック(同じスペースを狙うのでひとくくりにします。)
  2. 右コーナにAT15へのキックパス→ダイレクトキャッチ→トライ。ボールが浮き過ぎるとDF15が追いつく可能性あるので低空で速いパントキックが良いですね。DF側は背走しながらなので背中越しのキャッチになるので大変難しく、AT側はキャッチングする上でボールを前にして見えるので優位に立てると思います。※1.でのグラバーやラインアタックの縦へにクラッシュでDF15・11が内側に意識を持って行かせると、よりダイレクトキャッチの確率が上がりますよね。
  3. AT9から12or13の縦オプションです。もちろんラインブレイクが目的ですが、2nd phase(2次攻撃)以降のシークエンス、システムにつなげる。
  4. AT10のランコースは12・13の裏オプションです。DFが順番に詰めていくとAT10に対してDF11が来ますのでAT15にパスorAT14に飛ばすことで右サイドのスペースをゲインorトライも可能に。
  5. AT11の9裏からの横に入るランオプションです。このゲームの前半21分に逆サイドですが同じスチュエーションになり、実際にAT11を入れるオプションを使い、結果はBW(ブラインドウィング)の入りが遅れたこともありDF10に詰められて少しのゲインでした。

ムーブ・サインプレーを成功させるためのポイント

どのムーブ・サインプレーにも基本的には表と裏がありプラスキックオプションもあればDF(ディフェンス)はかなり守りにくいですよね。※sheet 3 例えばAT13を縦に入れるオプションでAT10の裏の動きがゆっくりで、AT13がクラッシュしてラックが出来るから次のフェイズ(攻撃)に備えるような動きでいると、DF13が迷うことなくAT13を狙ってタックルしドミネイトされてしまいます。AT10が正確な動きでいかにもパスを受けるようなデコイランをすれば DF13が迷いAT10に見てしまいAT13がフリーになりロングゲインorTRYにつながる攻撃になると言うことです。どのスペースをどのオプションで攻撃するかは戦略・戦術そして判断もありますが、各ランナーがチームで定めたポジショニングからタイミングを合わせスピードの変化で仕掛ける。ボールをレシーブしない時は最高のデコイランナーなる。細かな事がそのプレーのゲインを生み、次の攻撃を優位に進めトライへと結びつける大きなものとなります。

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