ラグビーワールドカップ2019日本開催 日本代表の第3戦目の相手はプールAのサモアとはどのようなチームなのか?明日の対戦を前にサモアの強さと、日本勝利への「鍵」を探りたいと思います。
南太平洋に浮かぶ小さな島国で人口は約18万人と東京都の立川市と同じくらいである。この小さな島国サモアは世界ランキング15位とオセアニア地区ではニュージーランド、オーストラリア、フィジーに次ぐ強豪でオールブラックスやワラビーズ にもサモア出身または家系がサモアの選手もいる。個々の身体能力は高く、体を強く当てるいわゆるコリジョン(衝突!)が大好きなチームなのだ!ここ近年のワールドカップでは影をひそめているが、過去2回ベスト8に勝ち上がっている。現在2試合を消化し1勝1敗アイルランド戦は 0 – 34とシャットアウトされたが、内容はこの差を感じさせなかった。
先ずサモアチームの大きな特徴は個々の身体能力がとにかく高い。瞬発力があり際で相手をかわす能力が長けてる上に身体は強くコンタクトが強い。何よりも身体を当てるいわゆるコリジョン(衝突!)が大好きなチームなのだ。
FWはパワープレーも得意でその身体能力を活かしディフェンスをかすかにかわし一つ外のディフェンダーとのコリジョンを制し前えへ出てくる。アタックは自陣からでもレンジの広いラインアタックでワイド&ワイド左右に大きく揺さぶりWTBがゲインを切ってくる。連続攻撃の中でもフィニッシュをかけるバックスラインアタックは瞬発力もあり抜群のスピードでトライを取り切る。
キックに関しては効果的シーンは多くなく、フェイズを重ねゲインできない時のパントキックを選択するがコンテストが出来ず、再獲得の確率が低い。
セットプレースクラムではSRクルセイダースでも活躍する右プロップのマイケル・アラアラトアがフロントの要となりスコットランドからペナルティーを奪うシーンもあり、成功率は100%。ラインアウトはロシア戦では100%であるが、スコットランド戦では15/18成功率83%ゴール前の肝心なところでのミスがノートライにつながったと思う。
サモア最大の武器 「タックル」とは 諸刃の剣?
良くも悪くもサモアの1番の特徴と言うか脅威と言いますか…サモアの武器は「タックル」です。はっきり言います。恐ろしいです。通常前傾姿勢で腰を落とし少し低く入るのが一般的ですが、サモアのタックルはスピードを落とさず、尚且つ上半身に正面衝突ようにブチかますのがサモアのタックルなのです。ショルダーチャージのようで相手の顔とタックラーの顔の高さが同じくらいになるため少しでも体の上体が起きていると浴びせ倒されてしまう。アタック側は体のダメージは受け、尚且つアタックポジションは下げられ、ターンオーバーの可能性も出てくるので試合の流れが大きく変わる武器にもなるのです。しかし現在のルールでは安全が最優先と考えられ、首から上へのタックルは全てペナルティーになります。仮に故意ではなく、たまたまアタック側ボールキャリアが足を滑らせ瞬間的に低くなってしまい顔や首に手が少しでも引っかかってしまったとしてもペナルティーです。現象としてそうなった場合は全てペナルティー。度合いによってイエローカードorレッドカードが出るケースもあります。サモアの選手もこのルールへの理解し行動でも示していると思いますが、あの激しい正面衝突のようなタックルはの彼らのカルチャーなのです。私ごとですが長年サモアのラグビーを見てきたのと身をもって受けた経験からも強く感じます。しかしながらロシア戦ではイエローカード2枚スコットランド戦ではイエローカード1枚レッドカード1枚が出ているのでチームにとってはマイナス要素が大き過ぎますが、ギリギリの位置にタックルに入り吉と出て連発するような事があれば日本にとっては流れを失い大打撃となるでしょう。まさに諸刃の剣と言えるでしょう。
攻撃ではサインプレーの細かいタイミングのズレを修正し、コンビネーションがしっかりハマりチームとしての勢いがつけばサモアンパワーは手がつけられなくなる。さらにフィフティーフィフティーのオフロードパスが繋がり出すと得点力は倍増するだろう。本当に気の抜けない強敵であり、単純にプール戦の得失点やランキングで判断することはできない相手だ。
ゴール前ラインアウトモールを押し切る粘り強さと、モールで押し込みディフェンスを寄せたところでモールサイドを崩すオプションはあるようなので、モールが停滞した後のミドルやワイドに展開するアタックシークエンスを用意されると守りづらくなる。
注目選手デンジャラスプレイヤー
- フランカー=TJ・イオアネ (瞬発力抜群のFWのペネトレイター)
- プロップ=マイケル・アラアラトア (18’19’スーパーラグビー連覇 勝ち方を熟知するクルセイダーズのメンバー)
- WTB =エド・(フィドウ レッドカード 日本戦 欠場 残念)
- FB= ティム・ナナイ ウィリアムズ (日本のトップリーグチーム リコーでもプレーをした変幻自在のステッパース)
- SO =トゥシ・ピシ (サントリー、サンウルブズでも大活躍した 現豊田自動織機、)
サモアチーム プロフィール
- サモア サモア代表の愛称=「マヌ・サモア」 マヌとは「獣」の意味
- ラグビー協会設立:1924年
- エンブレム:南十字星、ヤシの木、オリーブの葉
- ウォークライ:シヴァタウ(SIVATAU)
- ワールドカップ最高成績:ベスト8(2回:1991、1995)
- 世界ランキング(2019年9月30日):15位/スコア70.72
- 最多キャップ:ブライアン・リマ(65回)
- 最多得点者:トゥシ・ピシ(238得点)
- ヘッドコーチ:スティーブ・ジャクソン
- 主将:ジャック・ラム
オールブラックスにもサモア出身、サモア系の選手が多数選ばれてます。
- マイケル・ジョーンズ
- グレァアム・バショップ
- フランク・バンス
- タナ・ウマガ (サモアからの移民の両親を持ち、NZ ウェリントンで生れ)
- ※ ソニー・ビル・ウィリアムス (家系はサモア出身。サモアからの移民の両親を持ち、NZ オークランド生れ)
- ※ リッチー・モウンガ (父はトンガ、母はサモア出身) ※ は現役選手
他にもたくさんいますよ!
ラグビー代表選出条件
日本代表も31人のうち16人が外国籍、外国出身、もしくは帰化した選手です。アメリカや強豪のスコットランド代表も、多様な選手たちで構成されている。ラグビー代表選手の選出条件は”出生地がその国”、”両親、祖父母のうち1人がその国出身”、そして”その国に3年以上継続して居住(今回のワールドカップ後、5年以上の居住に変更)または通算10年にわたり居住”のうち1つを満たせば良いことになっている。
戦いの前の儀式 歌詞 『シヴァタウ』(SIVATAU) サモア語 英語訳
オールブラックスの「ハカ」などに代表する戦いの儀式はトンガやフィジーも行い、サモアは 『シヴァタウ』と言う これもまたファンが熱狂する熱い儀式なのです。
Leader: Samoa! | Samoa! |
Tatou o e tau le taua! | Let’s go to the war! |
Tau e matua tau! | Fight fiercely! |
Fai ia mafai! | Work to achieve! |
Le Manu! | The Manu! |
Team: Sau ia! | Let’s go! |
Le Manu Samoa e ua malo ona fai o le faiva Le Manu Samoa e ua malo ona fai o le faiva | The Manu Samoa, may you succeed in your mission The Manu Samoa, may you succeed in your mission |
Le Manu Samoa lenei ua ou sau | The Manu Samoa here we have come |
Leai se isi Manu oi le atu laulau | There is no other Manu (team) anywhere |
Ua ou sau nei ma le mea atoa | Here I come completely prepared |
O lou malosi ua atoatoa | My strength is at its peak |
Ia e faatafa ma e soso ese | Make way and move aside |
Leaga o lenei manu e uiga ese | Because this Manu is unique |
Le Manu Samoa | The Manu Samoa |
Le Manu Samoa | The Manu Samoa |
Le Manu Samoa e o mai I Samoa | The Manu Samoa reigns from Samoa |
Le Manu! | The Manu! Wikipedia さんより引用 |
シヴァタウ(SIVATAU) 日本語訳 英語訳
サモア! | Samoa! |
戦いにいくぞ! | Let’s go to the war! |
激しく戦ってくれ! | Fight fiercely! |
やりきるぞ! | Work to achieve! |
マヌ! | The Manu! |
いくぞ! | Let’s go! |
マヌ・サモアは成し遂げるだろ マヌ・サモアは成し遂げるだろ | The Manu Samoa, may you succeed in your mission The Manu Samoa, may you succeed in your mission |
マヌ・サモアはここだ! | The Manu Samoa here we have come |
唯一無二のマヌ(チーム) | There is no other Manu (team) anywhere |
準備は整った! | Here I come completely prepared |
強さは絶頂だ! | My strength is at its peak |
道を創れ!そこをどけ! | Make way and move aside |
なぜならこのマヌは唯一無二! | Because this Manu is unique |
マヌ・サモア! | The Manu Samoa |
マヌ・サモア! | The Manu Samoa |
サモアより君臨するマヌ・サモア | The Manu Samoa reigns from Samoa |
マヌ! | The Manu! Wikipedia さんより引用 |
戦いの前の儀式 J SPORTS 配信
ラグビーワールドカップ2019 ロシア vs サモア グループA
ラグビーワールドカップ2019 スコットランド vs サモア グループA
サモア代表(マヌ・サモア) 登録メンバー
◆PR(プロップ)
マイケル・アラアラトア/Michael Alaalatoa(クルセイダーズ/ニュージーランド、0)
ロゴヴィ・ムリポラ/Logovi’i Mulipola(ニューカッスル・ファルコンズ/イングランド、29)☆☆
ジェームズ・レイ/James Lay(ブリストル/イングランド、11)
ジョーダン・レイ/Jordan Lay(ブリストル/イングランド、14)
ポール・アロ エミール/Paul Alo-Emile(スタッド・フランセ/フランス、12)
◆HO(フッカー)
モトゥ・マトゥ/Motu Matu’u(ロンドン・アイリッシュ/イングランド、20)☆
セイララ・ラム/Seilala Lam(ペルピニャン/フランス、12)
レイモンド・ニウア/Raymond Niuia(ハイランダーズ/NZ、3)
◆LO(ロック)
ケイン・レアウペペ/Kane Leaupepe(ハリケーンズ/NZ、5)
テオフィロ・パウロ/Teofilo Paulo(ロンドン・アイリッシュ/イングランド、33)☆
セニオ・トレアフォア/Senio Toleafoa(ヌヴェール/フランス、2)
◆FL(フランカー)/NO8(ナンバーエイト)
ジャック・ラム/Jack Lam(無所属、34)☆
TJ・イオアネ/TJ Ioane(ロンドン・アイリッシュ/イングランド、20)☆
クリス・ブイ/Chris Vui(ブリストル/イングランド、14)
ピウア・ファアサレレ/Piula Faasalele(ペルピニャン/フランス、18)
ジョシュ・ティレル/Josh Tyrell (オヨナクス/フランス、6)
アファエセティティ・アモサ/Afaesetiti Amosa(ボルドー・ベグル/フランス、2)
【BK:14名】
◆SH(スクラムハーフ)
メラニ・マタヴァオ/Melani Matavao(アアナ・チーフス、9)
ドゥウェイン・ポラタイヴァオ/Dwayne Polataivao(ドンカスター/イングランド、12)
スコット・マルーア/Scott Malolua(レッズ/オーストラリア、0)
◆SO(スタンドオフ)
トゥシ・ピシ/Tusi Pisi(豊田自動織機、37)☆☆
Aj・アラティム/AJ Alatimu(ウェスタン・フォース/オーストラリア、4)
UJ・セウテニ/UJ Seuteni(ボルドー・ベグル/フランス、2)
◆CTB(センター)
レイ・リー ロRey Lee-Lo(カーディフ・ブルーズ/ウェールズ、24)☆
アラパティ・レイウア/Alapati Leiua(ブリストル・イングランド、27)
キーロン・フォノティ/Kieron Fonotia(スカーレッツ/ウェールズ、9)
ヘンリー・タエフ/Henry Taefu(ウェスタン・フォース/オーストラリア、3)
◆WTB(ウィング)/FB(フルバック)
ティム・ナナイ ウィリアムズ/Tim Nanai Williams(クレルモン・オーヴェルニュ/フランス、11)☆
エド・フィドウ/Ed Fidow(ウスター・ウォーリアーズ/イングランド、7)
ベルジウム・トゥアタガロア/Belgium Tuatagaloa(無所属、2)
日本代表が勝つための鍵は
やはり何といっても日本はアイルランド戦でも突破を許さなかったディフェンスシーンでの「ダブルタックル」だ。タックルしては起き上がりディフェンスラインをセットし、また前へ出てダブルタックルを繰り返す。アタック側はフェイズを重ね連続攻撃をするも、前へ出でれず根負けしキックへと切り替えボールの保持を諦めさせる。日本がアタックに転ずるための重要な「武器」なのだ。
このダブルタックルは体格差がありフィジカルの強い相手にはマストと言える。1人が下に入り、もう1人が上に入る。下へ入る役割は脚の動きを止め前進させない。上へ入る役割はボールをコントロールさせず、敵のゴール側へ浴びせ倒す。このコンビネーションでターンオーバーもしくはボールに絡む事で敵アタックのテンポを遅らせる。遅らせる事でディフェンスライン(人数)を整える時間を確保し、また次のデイフェンスに人数を揃え早いプレスを掛けるという良い循環を創り出す。
アタックではこれもアイルランド戦で見せた早いテンポの「高速アタック」が鍵となる。全体的なアタックスタッツはアイルランドとは大きく変わらないがクリーンブレイク数はアイルランド 5回に対し日本は 10回と大きく上回ってる。いかにBDから敵のディフェンスが揃う前にクイックアウトし尚且つ自分たちのアタックシェイプ(攻撃の形)が整っている状態で仕掛けいるかがわかる数字だ。
つまりアイルランド戦で出来た事をがサモア戦でも繰り返しやれるかが日本の勝利をたぐり寄せ、予選プール突破へ更に近ずける最大の鍵となる。 「Come on! Japan!」また歓喜の渦へと導いてくれ!
勝敗のアヤ….
J-SPORTS解説者でクボタスピアーズアシスタントコーチでもある田邊さんも先日のニュージーランド対カナダ戦で、湿気というワードが何度も使っていましたが、日本特有の気候によるこの「湿気」は、楕円球の転がりと同じように勝敗のアヤとなることも否め無い。湿気の攻略も戦略の一つであることは間違いない。
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